庁内に推進室、課題提起 DXで解決民間から知見 県が実証 防災啓発アプリ化など(愛知県)

 

引用元:読売新聞オンライン

 県は、庁内の行政課題について、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入による解決策を民間事業者から募り、実証実験を通じて具体化する取り組みを進めている。民間の知見を取り入れることで、より効果的な課題解決を図る。事業者側にとっても、自社のアイデアを試行できるメリットがあり、官民の連携による好循環を狙う。(乙部修平)

 防災分野では昨年、県防災危機管理課が県民一人ひとりの状況に合わせた防災情報を提供するための方法を民間事業者に募った。

 これまで同課では、啓発パンフレットで県内の災害リスクについて網羅的に情報を伝えてきた。だが、取るべき対策は住環境や家族構成によって異なるため、「読者の判断が難しい」との指摘があったためだ。

 募集に対し6社から提案があり、その中から東京のIT会社によるスマートフォンアプリの開発案を採用した。このアプリは、家族や居住地に関する情報を入力すると、その人に必要な対策や備蓄品の種類・数が表示される。防災イベントの会場などで実証実験を行い、改良を加えた上で今年度中にも正式リリースを予定している。

 同課の担当者は「民間事業者と連携することで、より柔軟な発想で、質の高いアプリ作成ができていると感じる」と効果を語った。

 県は2021年度、庁内のDX化を図るDX推進室を新設。22年度から毎年、行政課題の解決策を民間事業者から募っている。民間が持つ最新の知見や技術を行政課題の解決に役立てるのが狙いだ。一方、県が最大100万円の実証費を負担するため、事業者側は、新たな取り組みに挑戦し、ビジネスチャンスにつなげることができる。

 県は23年度までに、18の行政課題について解決策を募集。漁業関係者に海況情報を迅速に発信するシステムや、県図書館のホームページでのAIチャットボットによる利用案内など、7課題の解決策について正式導入が決まった。今年度も就農相談のデジタル化や、電話対応の記録作成の自動化など、10課題に対する解決策を募集し、8月に事業者を選定した。

 県DX推進室の杉山敦担当課長は「行政の課題は年々多様化しており、デジタル技術の活用が急務になっている。そのため民間との連携が有効な手段と考えている」と話している。

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