無線通信技術vol.2 主な技術の特長と活用事例を知ろう!(前編)

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無線通信技術vol.2 主な技術の特長と活用事例を知ろう!(前編)

各地域が抱える地域特有の課題を、デジタルの力で解決・改善することが「地域社会DX」です。
地域社会DXを支える主な無線通信技術の種類と、どれを選べば良いのかを考えるためのヒントを3回シリーズでお伝えします。2回目は、地域社会DXでよく使われる主な技術の紹介、前編です

5G、4G/LTE

携帯電話やスマートフォンなどでも使われている移動通信システムです。1979年に最初の移動通信システムが商用開始されて以来、約10年の周期で次世代のシステムが登場し、新しい機能が加わってきました。特に現在の5G(第5世代移動通信システム)は、従来の技術進化の延長線上にある超高速通信だけでなく、超低遅延通信や多数同時接続といった新たな機能を備え、その特長を生かして、これまでの人と人とのコミュニケーションツールに加えて、IoT時代のICT基盤として役割を担うようになっています。例えば、乗用車、建機などの自動運転や遠隔ロボット操作のための実証が各地で行われており、今後の実用化が期待されています。通信事業者が広範囲をカバーしたサービスを提供しており、カバーエリア内であればどこでも利用できる点が魅力です。この技術を採用する場合には、どのようなソリューションをどの程度の規模で利用するか、コストも考慮しつつ検討しましょう。また、限られた範囲で独自にネットワークを構築できるローカル5Gがありますが、こちらは次の項目で紹介します。

ローカル5G

通信事業者が提供している5Gとは異なり、建物内や敷地内などで独自に構築する5Gシステムです。他のシステムと比較して、地方公共団体や地域の企業などが個々のニーズに合わせて、5Gの3つの機能(高速大容量、超低遅延、多数同時接続)のどれを優先するか柔軟に設定することができます。無線局免許が必要となりますが、それにより、他の機器からの電波干渉を受けにくく、また、プライベートの通信網だけに他の場所で利用者の急増や自然災害などで通信障害が発生した場合でも、それらの影響を避けられ、安定した通信が出来ることが強みです。こうした特長を生かして、自動運転のほか、離島での専門医の不足を補う遠隔診療支援、混雑するスタジアムやアリーナでの通信の確保、高速通信を活用した鉄道保全の効率化といった取り組みが行われています。2020年に利用が始まった新しい通信システムであるため、ネットワーク構築には相応の費用がかかりますが、普及が進むにつれて徐々にコストダウンが図られています。

地域BWA(ブロードバンド・ワイヤレス・アクセス)

BWAは、広帯域(Broadband)、無線(Wireless)、アクセス(Access)の頭文字をとった略称で、下り最大220Mbsという固定光回線並みの高速通信が実現可能、また、1つの基地局で半径2~3km程度の比較的広いエリアをカバー出来る無線通信システムです。地域公共サービスの向上やデジタル・デバイド解消といった地域の公共の福祉の増進に寄与するサービス提供を目的とするBWAを「地域BWA」といいます。システムは事業者によって提供されており、電波が届かない地域へのデジタルインフラとしての活用のほか、防災情報の配信や児童・高齢者の見守り、鳥獣害や河川の監視カメラなど様々な用途に使われています。木々や岩など障害物が比較的多い場所でも利用でき、比較的低コストで使えるのも長所で、全国で約100の事業者が地域BWAを提供しているため、各地方公共団体が抱える課題に寄り添った相談が可能です。地域BWAのほかに、全国で公衆向け高速データ通信サービスを提供する「全国BWA」、農場や工場など、地域BWAが提供されていない特定のエリアでネットワークを独自に構築できる「自営等BWA」もあります。