無線通信技術vol.1 様々な技術の種類と活用方法を理解しよう!
「地域社会DX」を1分で解説!
地域が抱える課題を、DXの力で解決・改善するのが「地域社会DX」です。
そのDXを支える無線通信の技術には、通信速度や通信範囲、セキュリティ、予算などに応じて、さまざまな選択肢があります。今回は、地域社会DXでよく使われている技術について、どれを選べば良いのか考えるためのヒントを3回シリーズでお伝えします。初回は、通信技術の種類について紹介します。
通信技術の種類
地域社会DXによく使われる通信技術には、携帯電話などに使われているLTEや5Gといった広域で利用可能なもの、無線LAN(Wi-Fi)といった日常生活でなじみが深いものから、地域や産業など個別のニーズに合わせて自らの建物内や敷地内でスポット的に柔軟に通信網を構築できるローカル5G、比較的広いエリアをカバーでき高速通信が利用できるBWA(ブロードバンド・ワイヤレス・アクセス)、広域・低消費電力でIoT(モノのインターネット)の基盤として使われることが多いLPWA(ロー・パワー・ワイド・エリア)などがあります。こうした地上系のネットワークのほかに、人工衛星などを活用した非地上系ネットワークもあります。
何に着目するか
多様な通信技術の中から、どれを選ぶかは、取り組みの中で必要となる性能によって異なります。たとえば、工場や自動運転などでリアルタイムの精緻な遠隔操作を行うのであれば、高精細な動画を遅延なく送る高速・大容量・低遅延の通信技術が必要になります。医療や産業など、より安定的な運用が重視されるケースもあるでしょう。一方、農地などの環境や状態のセンシングでは、大容量のデータを送受信する必要性よりも、維持管理にかかる手間や費用を抑えることの方が重要な場合が多くみられます。
そこで、①カバー範囲や通信距離②通信容量・遅延③導入や運用にかかるコスト④通信する端末数――といった要素に着目して整理すると、どの通信技術が最適なのかを考える手がかりになります。
用途にあった通信技術を
たとえば、高速・大容量・低遅延といった性能が必要であれば、5Gやローカル5G、LTE(4G)、Wi-Fiといった選択肢などが有効です。他の場所の通信障害や災害などの影響を避ける必要があれば、独自ネットワークであるローカル5Gが有力な候補になるでしょう。通信環境の導入や運用などのコスト面を重視する場合はLPWA、または事業者が提供する地域BWAのサービスエリア内であればBWAという選択肢もあります。また、例えば、固定回線の利用が難しい離島や海上、通信手段が途絶えてしまった災害現場などでは、地上のネットワークに依存しない非地上系ネットワークの活用が考えられます。