
地域社会DXの事例を取材する中で出会った「全国各地のご当地ネタ」を紹介。
地域社会DXの事例を取材する中で出会った「全国各地のご当地ネタ」を紹介。
お団子アトラクション 岩手県一関市
川を越えてロープ伝いにかごが飛んできます。かごの中には、お団子。岩手県一関市の名物の一つ、「空飛ぶ団子」を目当てに厳美(げんび)渓を訪ねました。栗駒山から一関市内へと流れる磐井川の渓谷、厳美渓は奇岩が深緑の水に映える人気の撮影スポットです。空飛ぶ団子、郭公(かっこう)団子を販売する甘味処「郭公屋」は明治時代の創業で、初代が店舗の対岸にいる観光客向けにかごを使った販売サービスを考案したそう。対岸からは、かごにお金を入れて注文。店舗からお団子とお茶を載せたかごが到着すると、居合わせた訪日旅行客からも拍手が起こりました。お団子は、もちもちして柔らかい。テーマパークのアトラクションのような盛り上がりを楽しみながら、かごとお団子に興味が集中してしまい、名勝の絶景をもう少し目に焼き付けておけばよかったと反省。
日本で唯一!「現役」の下水道管内でインフラに感謝(小平市ふれあい下水道館)
小平市内を流れる新緑の玉川上水沿いを歩いていると、近所に「実際に使用している下水道管内に自由に入れる日本で唯一の下水道テーマパーク」があると聞きつけ、寄り道。下水道について学びながら地下5階の下水道管へ。「現役」の管内に足を踏み入れたとたんに感じる、体全体にまとわりつく生温かい空気の流れと臭気、うっすらともやがかかる管の先の暗闇に思わず足がすくみます。都市を支えるインフラの凄さ、ありがたさを痛感しつつ地上へ。なんでも、インフラ施設を観光するインフラツーリズムでも注目されている施設なのだとか。Jリーグクラブとコラボしたマンホールカードもゲット。
道しるべ左右どっちも江戸に着く
さあ、どっち。「 左 中仙道 美のぢ」「右 東海道 いせみち」と刻まれた追分道標が、タワーマンションやおしゃれなお店が並ぶ市街からほど近いT字路に立っていました。かつて京都と江戸・日本橋を結んでいた中山道と東海道の分岐点。行き交う物売りや飛脚たち、そしてお殿さま一行を見守ってきたんですね。滋賀県草津市は今も国道1号、名神高速道路、JR東海道本線などが通る交通の要衝。高さ4メートルほどの道標を見上げていると、自分が歩いてきた人生のたくさんの分かれ道が、正しかったのか考えてしまいそう。行き先が同じなら、まあいいか。
「見ざる言わざる聞かざる」の逆?
関東でも屈指の古社のひとつ、秩父神社を参拝したところ、壁を彩る彫刻の数々に思わず目が奪われました。最近、塗り替えを行い、極彩色によみがえった彫刻が四方の壁に飾られています。左甚五郎作とされる「子宝 子育ての虎」や、鎖でつなぎとめた「つなぎの龍」など、非常に見応えがありますが、お気に入りは「お元気三猿」。日光東照宮の「見ざる言わざる聞かざる」とは対照的に、よく見てよく聞いてよく話す猿なんだとか。愛嬌のある顔もサルことながら、取材の仕事をしている身としては、こちらの三猿に親しみがわきます。何とか三猿様の元気にあやかろうと、力強く祈って参りました。
重要文化財のカフェでぜいたくな時間
観光資源の宝庫である京都。まだあまり知られていないスポットとして京都市職員の方に教えてもらって訪ねたのが、京都府庁旧本館にあるカフェ「salon de 1904」。フルーツサンドのほどよい甘さがコーヒーとよく合います。国の重要文化財でもある京都府庁旧本館は1904年12月に完成し、創建時の姿をとどめる官公庁の建物では日本最古とされています。京都府庁の本館としての役割は終えたものの、現在も執務室として利用されています。「salon de 1904」は、文化庁が移転して間もない2023年7月にオープン。レンガ造りの外観に溶け込んだインテリアはぜいたくな時間をつくりだし、歴史的な建物が多く残る京都の楽しみ方を教えてくれます。
子どもの笑顔と安全を見守る「ぶんぶん童子」
JR大分駅改札を出たところで、なにやら視線を感じ振り返ると、そこには子どもの顔を持つミツバチの子「ぶんぶん童子」がひょっこり鎮座していました。人の顔をしたミツバチといえば、子どもの頃に見ていたミツバチのアニメに登場した「みつばちハッチ」でなじみ深いのですが、こちらの「ぶんぶん童子」もなかなか趣深い表情をしています。奈良の「せんとくん」の作者、籔内佐斗司さんのデザインだそうで、大分県の分(ぶん)と豊後の豊(ぶん)にちなんだ不思議キャラとして人気なのだとか。ちなみに、駅ビル屋上にも電車ごっこしながら九州の地図上を走っている子どもたち「縁結び七福童子」のモニュメントなど、ほかにも藪内さんの作品が。お好きな方はぜひ。
ずらりと並ぶそばの皿
兵庫県豊岡市の名物料理といえば、出石(いずし)そば。同市出石町には道路沿いにそば店が立ち並ぶ場所もあります。特徴は小皿にもりつけた皿そばを何枚も食べるスタイル。注文すると、皿そばとともに薬味の玉子、山芋、大根おろし、わさびなども運ばれ、テーブルはにぎやかに。関西らしくダシにこだわっているといい、ツルツルと喉を通り、どんどん胃袋に収まります。1人前は5皿ですが、計10皿をぺろりと平らげました。大食い? いや、周りを見回しても10皿食べている人が多かったです。
手作りATM 「とくいの銀行」
取手駅にほど近い、2,200戸以上が並ぶ大規模団地。うろうろとしていると、不思議なATMを発見しました。2011年からこの地で始まった、お金の代わりに「とくい」を運用する銀行のATMなのだそうです。自分のとくいなことを預けて人のとくいなことと交換して引き出すことができるそうで、「歌を歌う」「朗読する」「踊る」「工作」など、みなさん実に様々な「とくい」を預けていました。預かった「とくい」を引き出し、「パンづくり」「語学」「ウクレレ」など多彩なイベントも開催しているそうです。私なら何を預けられるか。再訪するまでに考えます。
バタバタ茶の文化 お茶と人の優しさに感激
朝日町の山間にある蛭谷(びるだん)集落で、バタバタ茶を堪能。プーアル茶と同じ黒茶の一種で、その歴史は室町時代に遡るそうです。特殊な茶せんを使ってバタバタかきまぜ、泡立てて飲むお茶は、深い味わいが癖になります。驚いたのは、伝承館を訪ねる人を集落の「客」として受け入れ、お茶請けとお茶をふるまっていることです。開館している日は限られますが、年間数千人は訪れるとのことで、地域の人たちが集まる場所で、私も一緒におしゃべりを楽しんできました。室内をぐるりと見回すと、マイナンバーカードをかざしてポイントがもらえるLoCoPiのタッチポイントを発見。地域に根付くデジタル技術を実感!
キツネの足跡追いかけ、駅ホームのぶどう園へ
長野県の塩尻駅ホームに小さな足跡が点々と続いているのに気づき、追いかけることに。足跡が途絶えたところで顔を上げると、そこには「ホームのぶどう園」が。塩尻のブドウとワインをPRするために1980年代に設置されたのだそう。収穫時期は過ぎていましたが、駅構内にいながら、ちょっとしたぶどう園観光ができたことでテンションが上がり、思わず土産にブドウジュースを買い込む私。ちなみに足跡はキツネのもの。まんまとキツネに化かされたと思いつつも、おいしかったからヨシ!
生きている村の精霊「カリコボーズ」
宮崎県西米良村は多くの民話が口頭伝承で残る民話の宝庫です。カリコボーズは、春の彼岸から秋の彼岸まで川に下って水の神になり、秋から春は山に登って山の神になると言い伝えられる村の精霊。一ツ瀬川にかかる全長140mの木造車道橋は「かりこぼうず大橋」と名付けられるなど、今も村民の安全を見守っています。
そんな西米良村のイメージキャラクターは、カリコボーズをモチーフにした「カリコボーズのホイホイくん」。「ホイホイ」と鳴く声が、狩りで獲物を追い立てる役目の狩子(かりこ)の声に似ていること、男の子の姿をしていることから名付けられました。
鼻息荒く向かった「幸福の鐘」で鼻歌も鳴り響く
1970年代にテレビ番組で紹介されたのを機に、一大ブームを巻き起こした「幸福駅」。鉄道自体は1987年に廃線になったそうですが、私も「縁起の良い名にあやかろう」と、鼻息も荒く幸福駅へ。願い事を書くピンクの「切符」を駅舎に貼り付け、ボッチもなんのその、カップルや家族連れに混じって1人で「幸福の鐘」なるものまで鳴らしてきました!力の限りに祈ったので、来年もきっといい年になるはず。