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孤独・孤立対策

「人」と「日常」と「AI」の融合~AIを活用した相談システムの構築~【奈良県葛城市】

事業の概要

【AIを利用した対人相談に繋げるためのシステムの構築と実践】

  • GIGAスクール構想で配布されている1人1台の端末を利用し、学校生活 の一部にAI相談室を利用する時間を組み込んでいる。
  • 子どもが選択した表情のアイコン、入力した日記、アンケートなどについてAI が解析を行い、リスクの早期発見に役立てている。
  • AIに見守りをさせるのではなく、あくまで人に繋げる入り口としてAIを用いてい る。

 

【子ども側】

  • アイコン、日記、アンケートに加え、SNS相談を 利用することができる。

【学校側】

  • クラスの子どもの気分を一覧で確認することができる。

【運営管理(こども・若者サポートセンター)】

  • 実施利用は学校で行い、運営管理は臨床心理士が多く所属する「こども 未来創造部こども・若者サポートセンター」が行う。
  • 臨床心理士がSNS相談を1件ずつ確認する。
  • 必要に応じてAIに代わり、臨床心理士が返信をする。
  • 一度発行されたアカウントは半永久的に利用するこができる。中学卒業後 もAI相談システムを通して、切れ目のない支援と関わりを可能にしている。

    ※ 葛城市こども・若者サポートセンターは、福祉と教育の協働を目指して妊娠期から40歳までの切れ目のない支援を目指して設置された画期的な組織で ある。

 

【参考情報①】 人口:3.8万人 

関連URL:https://www.city.katsuragi.nara.jp/shisei/tokei_johokokAI/3/5625.html

【参考情報②】新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金(厚労 省)とは

 URL:https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/21syokanyosan/dl/gaiyo-09.pdf

令和3年度事業費 9,900千円 (うち、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金(厚労省) 7,425千円)

もっと知りたい!担当者にインタビュー

取組の経緯・きっかけを教えてください。

誰にも相談することができず、不登校、引きこもり、そして自死にいたるという課題を解決したい。課題は日常にあるが、なかなか気づくことができない。そこで、子どもが日常的に使っている道具を活用し、まずは相談の練習の道具として「仕掛け」を作る必要があると考えました。

導入又は実証時において、国又は都道府県の支援制度(人的支援や技術提供、補助金等)を活用しましたか?

イニシャルコスト約1000万円のうち国庫補助金(厚生労働省の新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金)3/4を活用しました。
子どもに馴染みやすい工夫で利用率アップを狙いました。例えば、ご当地キャラの蓮花ちゃんを使用しています。他には、相談を前面に出すのではなく日常会話をメインにし、会話をし続けることで相談に向けた準備をしています。「相談しましょう」では二の足を踏んでしまう子もおり、利用率も増えないと考えます。その点、AI蓮花では2022年5月の運用開始から2023年末までで累計12,000件以上の利用実績を上げています。
「機械に見守りをさせるのか」という批判もありますが、AIが人を助けるのではありません。AIを活用し、最終的には人に繋げることを目指しています。あくまでも支援の入り口のひとつにすぎません。そして、DXの相談支援への新たなチャレンジでもあります。

担当部署 葛城市 こども・若者サポートセンター